今日も一人ぼっちだ。
そうつぶやくと、
「おれもです。一緒に飲みませんか」
と、ちょっと名前を知ってる程度の知り合いからメッセージが届いた。
彼から指定された飲み屋に行くと、日焼けして歯が真っ白なスーツ姿の若い男も同席していた。
彼はすかさずマンション購入を勧めて来た。
まだ、一杯目のビールも届かぬうちに。
私の怒りは頂点に達した。
さびしい中高年相手に、姑息な営業しやがって。
おれはまず、メッセージを送って来た「名前くらいしか知らない知り合い」の右の眼球にひとさし指を突っ込んだ。
おれの指は第二関節までめり込み、男は悲鳴をあげた。
おれはメッセージを送って来た男の左隣に座っていたスーツ姿の男の頭部に、メッセージを送って来た男の頭がぶつかるように、眼球に挿入したひと差し指に力をこめた。
男の頭がスーツ姿の男の頭に当たり、グシャッ、と音がして二人の脳は割れた。
中からくす玉に入っているキラキラした紙吹雪みたいなものが出て来た。
その光景を、スマホで撮ろうしていた知らない女に向かって懐に忍ばせた拳銃を構え、そのまま引き金を弾く。
女の構えたスマホを弾丸が貫通し、女の眉間を貫いた。
弾丸は女の後頭部から飛び出し、居酒屋に貼ってある演歌歌手のポスターに弾丸が突き刺さった。
その間、わずか三秒。
しかし五秒後にはパトカーのサイレンの音がしていた。
だれかが通報したのだろう。
おれは居酒屋の外に出て、向こうから走ってくるパトカーに、拾ったコンクリートのブロックを投げつけた。
ブロックはパトカーのフロントに深くめり込み、パトカーは爆発。
爆発のショックで地球は滅亡。
世界は小型犬が支配するようになる。
おれは宇宙に旅立った。
小型犬には用はない。
それよりも、ずーっと前のフランスのワールドカップでチケットが取れなかったセルジオ越後の方が心配である。
では、さらば。
(了)